初めての既成脚本の上演。あるサラリーマンの男の家に突如押しかけた八人の家族。わけも分からないまま翻弄される主人公。常識が通じない人々の奇異な行動に怒りを覚えながらも丸め込まれてしまう。そして…
【主な曲】「ちぎれた首飾りのテーマ」

作  安部公房
演出 城 隆弘
音楽 庄野俊治

友 達

2009年12月20日
千丁文化センター(パトリア千丁)

 -第1幕-
 
さてさて、家族の登場…
夜の闇から抜け出てきたような8人の家族。
 
主人公の男のアパートに突然押しかけます。男はなすすべもなく見守るばかり…
 
警察に電話をしようとすると止められます。
おとこは次第にあせり始めます。
 
やっとの事で警察に電話。
少し気持ちにゆとりが出てきた男。
しかし、なぜか家族にも余裕があります。
 
 悠然と、「ちぎれた首かざり♪」を歌う次女。
 
やっと来た警察官にまくし立てる男。
ところが、その頼みの警察官が、あまり
乗り気ではありません。警官「被害もないようなので事件には
なりません」管理人のおばさんも冷たい仕打ち…
男はわけが分かりません。
 
警察官達は、早々に帰ってしまいます。
呆然とする男。
父「これが現実なんですよ…」
 
 罰金にことよせて、金を巻き上げられる男。
 
全財産五千六百円也!
母「たったこれっぽっちかい?」
長男「給料前だからねえ、しょうがないかも…」
 
すっかり打ちのめされる男。
男「そんなにいじめないで下さいよ…」
「冗談なんでしょ!?」
 
孤独を癒す太陽の詩。
父「私達はあなたの孤独な心をなぐさめにやってきたのです。せめてタドンの火くらいは届けようと思ってね…」
 
突然恋人からの電話。
女性のくしゃみの音が聞こえたから
さあ大変。男は躍起になって言い訳をします。
 
夜も更けてお休みの時間。
家族達は、突然男をパジャマに着換えさせます。
 
手際よく男を着換えさせると、男をハンモックに寝せ、一同 「お休みなさ~い」と、となりの部屋へ…
 
何がなんだかわからないまま呆然とハンモックに横たわる男の前を、次男 「ビール!」と台所へ去っていくのでした。
 -第2幕-
 
とある公園のベンチ。
婚約者が男と待ち合わせをしているところへ、家族の一人(末娘)がやって来ます。なにか怪しげな手つき。
 
そこへやってきたのは長男。
どうやら末娘と示し合わせていた模様。長男は、女たらしの凄腕で、婚約者の気を引くことに余念がありません。男の悪口をそれとなく吹き込みます。
 
そこへ男の登場。
長男がいることに気づき、怒りだす。
 

 

婚約者は、知り合いの元記者を、
男の家へと連れてきます。彼に事の真偽を確かめて欲しかった
のですが…元記者はこの家族達にすっかり傾倒
してしまいます。
 
元記者 「偉大な活動です。実にすばらしい!! 感動しました!」執拗に仲間にしてくれと頼む元記者。
 
そこへ、浮かび上がる男の姿。
元記者 「これは?」
父    「一種の寄生虫ですな。」
長女   「はりあいがないったらありゃしない。」
 
 長女は、男の気を引こうと
モーションをかけますがなかなか
うまくいきません。
 
次女が突然現れ、長女と男の関係を問いただします。男が逃げだそうとしていたことが分かり、家族で協議します。
 
その結果、男を檻に閉じ込めることになりました。手際よく檻が組み立てられ、男は檻の中へ閉じ込められてしまいます。
 
檻の中に閉じ込められた男は、世間との接触を一切断たれます。次第に男の感覚もうつろになっていきます。
 
婚約者から指輪が返される。
しかし男には長男が奪ったのか次男が奪ったのかそれを調べる意欲も出ない。
そんな男をみて、次女は悲しむ。次女 「あなたはもうどこか遠いところへ行っているのね…。」
 
 次女 「逆らいさえしなければ、私たちなんかただの世間にしかすぎなかったのに…。」
 
 次女は悲しみの涙にくれながら、いとおしく檻をなでるのでした。
 
男の前で新聞記事を読んで聞かせる父親。
父  「……そう、世界は広い。広くて複雑だ…。」
 
「さようなら。」
 
暗闇に浮かぶ八つの顔。

幕がおります。